
決算書や仕訳を整理し、経営に使う帳票をつくる。これには、まだ手間がかかります。元の資料との照合や、会社ごとの処理の確認も必要です。
それでも、実際に取り組んでいると、帳票をつくる作業の多くをAIに任せられるようになってきたと感じます。
だからこそ、大事になるのが、その後です。
数字を見て、何をするのか。何を変えれば、その数字が動くのか。
帳票ができたところから、経営の仕事は続いていきます。
数字が見えても、行動が決まるとは限らない
そもそも、何を分析すればよいのか。どの数字を見ればよいのか。指標が何を意味しているのか。
ここで迷ってしまうことがあります。さらに、意味が分かったとしても、何をすれば改善するのかが分からない。
例えば、「粗利を増やしましょう」と言われても、それだけでは明日からの仕事は変わりません。誰に、どの商品を、どのように提案するのか。そこまで具体的になる必要があります。
私が支援の中で行っているのは、数字をさらに分解することです。計算式やロジックツリーを使い、一つの数字を、それを構成する要素へと分けていく。そして、現場で変えられることと結びつけます。
「粗利を増やす」を、「この会社に、この商品を提案する」へ
粗利の改善では、相乗積を使って粗利の構成を確認し、ABC分析で対象を絞っていきます。
例えば、Bランクにある取引先について、今扱っている商品を別の商品に入れ替えられないかを考える。
「この会社の、この商品を、こちらの商品に入れ替えれば、1品あたりの粗利が100円増える」
そこまで分解すると、改善の話が具体的になります。なお、この100円は考え方を説明するための例で、実際の改善額や効果を示したものではありません。
さらに、提案するための資料やチラシを作り、相手に届けるところまで決めます。
分析の結果を、営業の行動に変える。
数字を眺めているだけでは見えてこなかった、次にやることが見えてきます。
数字だけでは決めない。現場と一緒に絞る
ただし、計算上は粗利が増えるとしても、その商品を提案できるとは限りません。現場には、数字だけでは分からない事情があります。そもそも扱えない商品もあります。
ですから、候補を出した後は、社長や担当者と一緒に絞っていきます。
この入れ替えはできるのか。相手に提案できる内容なのか。現場の感覚を確かめながら、実行できる案にしていく。
数字は、話し合うための材料です。数字から見える可能性と、現場が知っている事情を合わせて、行動を決めます。
翌月、最初に聞くのは「チラシを配りましたか?」
施策を決めた後は、月次で確認します。相乗積も毎月作り、数字の変化を見ていきます。
ここで、最初から結果の数字だけを見るわけではありません。
まず大切なのは、決めた行動を実行したかどうかです。
「チラシは、きちんと配りましたか?」
配っていなければ、まだ提案の内容がよかったかどうかは判断できません。実行したかを確認し、そのうえで、数字が動かなかった理由を考えます。
帳票の更新と、行動の確認。この二つを、月次で一緒に進めます。
配った。それでも動かなければ、伝え方を変える
チラシを配っても、数字が動かないことがあります。
その場合、私はまず、配っただけで、提案したいことが相手に伝わっていない可能性を考えます。
そこで、相手を二つのグループに分けて、次の行動を変えてみます。
- 半分のグループには、もう一度チラシを配る。
- 残り半分には、担当者に代わって社長が直接提案する。
そして、商談でどのような反応があったかと、注文や粗利がどう変わったかの両方を確認します。
相手の反応だけで終わらず、数字にもつながったかを見る。数字だけで結論を急がず、商談で何が起きたかを聞く。
その結果を、次にどう伝えるか、何を提案するかという判断に使っていきます。
AI経営企画室でつくりたいのは、行動が続く仕組み
AIを使って帳票をつくれるようになっても、それだけで粗利が増えるわけではありません。
数字を分解し、現場と話し、行動を決める。実行したかを確かめ、反応と数字を見て、次の行動を考える。
私が考える「AI経営企画室」は、資料を出力するだけの仕組みではありません。集計や資料づくりにAIを活用しながら、この流れを続けられるようにすることです。
自社で運用する形もあれば、導入や運用づくりの支援を受ける形もあります。数字の意味を確認し、次の行動を考えるところまで、社外CFOとして伴走する形もあります。
社長が判断し、会社が動く。そのために、数字と行動を結びつける。
そこまで含めて、経営企画の仕事だと考えています。
数字を行動につなげる実践を、セミナーで
AIを使った帳票づくりから、その数字をどう行動につなげるかまで、少人数のオンラインセミナーでお伝えする準備を進めています。
2026年10月29日(木)10:00〜11:00、Zoomで開催します。定員8名、参加費3,000円(税込)、銀行振込です。知りたい内容やご質問を伺いながら、準備を進めています。
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上野 貴司|株式会社 Issue-Consulting 代表取締役・中小企業診断士
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