会社の数字を整理して、今の状況を把握する。計画との違いを確かめ、次の判断に使える資料を用意する。こうした仕事は大切ですが、中小企業では社長自身が担っていることも多いのではないでしょうか。
私がいま取り組んでいるのは、AIエージェントを使って、中小企業の経営企画室の仕事を支える仕組みづくりです。まずは、決算書や仕訳から、利益と現金の動きを整理するところから始めています。
目指しているのは、社長が資料づくりに追われず、数字をもとに考え、決め、行動する時間を持てることです。
まずは、決算書と仕訳から始める
「AIで経営企画室」と聞くと、市場調査や事業戦略まで、何でも自動でできるような印象があるかもしれません。今回お伝えしたいのは、もっと身近な仕事です。
決算書や仕訳を読み取り、月ごとの数字に整理する。利益だけでなく、現金がどのように動いたかを確かめる。計画がある場合は、実績と並べて違いを見る。いまは、この財務・業績管理の部分に取り組んでいます。
「利益はあるのに、なぜ現金がないのか」。この疑問に向き合うためには、まず、判断の土台になる数字が揃っている必要があります。
AIエージェントに、仕事の手順を持たせる
ここでいうAIエージェントは、質問に答えてもらうだけでなく、資料の読み取り、集計、確認、帳票づくりといった手順を持たせて仕事を進める仕組みです。
私が取り組んでいる作業には、次のようなものがあります。
- 決算書から損益や貸借の数字を整理する
- 仕訳を月次に集計し、決算書の数字と照合する
- 利益と現金の動きを、毎月同じ形の帳票で見られるようにする
- 資金繰りの見通しを考えるために、実績と今後の前提を整理する
一度だけ資料ができればよい、とは考えていません。翌月も同じ手順で更新でき、どこに何があるかが分かり、元の資料までたどれることを重視しています。
帳票ができたことと、数字が正しいことは別
実際に取り組む中で、特に重要だと感じているのが確認の工程です。見た目が整った表でも、それだけで経営判断に使えるとは限りません。
対象の会社や期間は合っているか。税込と税抜が混ざっていないか。会社固有の科目をどう扱うか。元の取引が抜けたり、重複したりしていないか。こうした点を確かめる必要があります。
例えば、借入と返済が同じ月にあれば、差し引きの増減だけでは、それぞれいくら動いたかが見えなくなります。現金残高が合っていても、経営者が知りたい動きが正しく表れているとは限りません。
AIに任せる作業と、人が確認する意味・前提を分ける。ここを曖昧にせず、自社で繰り返し使える形にすることが、導入の大切な部分だと考えています。現在も、その手順を整え、検証を重ねているところです。
資料をつくった先で、何を判断するか
帳票づくり自体が、私の仕事の目的ではありません。
今月、現金が減った理由は何か。仕入れや支払いの時期を見直せるか。粗利を増やすには、どこから手をつけるか。投資をするなら、手元資金はどう変わるか。
こうした問いに向き合い、選択肢を比べるために数字を使います。AIが出した説明をそのまま結論にするのではなく、会社で実際に起きていることと照らし合わせ、社長と対話する。その時間を増やしたいのです。
AIエージェントで経営企画室をつくる、という取り組みも、財務の力で経営の選択肢を最大化するという仕事の延長にあります。
自社で運用する。必要な部分は支援を受ける
導入の形は、一つではありません。社内に担当者がいて、自社で仕組みをつくり運用できる会社もあれば、立ち上げを一緒に進める方がよい会社もあると思います。
- 自社で運用する:担当者と確認の手順を決め、社内で更新する。
- 導入・運用づくりの支援を受ける:資料の整理や帳票の作成・確認手順を、一緒に整える。
- 社外CFOとして支援を受ける:数字の整理に加え、意味の確認や経営判断の対話まで伴走を受ける。
大切なのは、ツールを入れることだけで終わらず、自社で使い続けられる形を選ぶことです。
株式会社 Issue-Consulting