先のお金の予定と、毎週の口座残高を確かめます。そのうえで、商品ごとに仕入れの決め方を変え、在庫に寝ているお金を手元に戻します。
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「現金が安定した」
「役割って大事ですね」
「楽になった。やることが減った」
資金繰りとは、入るお金と出るお金を確かめ、支払いに必要なお金を用意することです。
その支援をしていると、社長からこんな言葉をいただくことがあります。
最初の相談は、お金の不安です。それが、支援を進めるうちに、社員への任せ方や社長の仕事の減らし方の話に変わっていく。
現金の動きを見ることは、お金の管理だけにとどまりません。会社の中で、誰が何を判断するのかを整えるきっかけにもなります。
お金が減る時期を、調整できるようになる
「お金の流れが理解できた」
これは、支援の中で伺う言葉です。
単に口座のお金が増えたということ以上に、いつ、何のために減るのかが分かり、そのタイミングを調整できるようになる。
そこに変化があります。
資金繰り表では、6か月先までの見通しをお見せしています。
それとあわせて、毎週、実際の口座残高を社長に確認していただきます。
半年先まで見通すことと、今の残高を確かめること。その両方を続けるうちに、社長の頭の中に残高が入るようになります。
日々の支払いは、社長が判断できるようになる。投資のような大きな判断は、一緒に考える。
当社が毎回の支払いを決めるのではなく、社長が判断するための材料を共有していきます。
大きく減ったときも、増えたときも、理由を聞く
私も口座残高を確認しています。大きく動いたときには、社長に声をかけます。
「口座が大きく動きましたが、何かあったんですか?」
減ったときだけではありません。大きく増えたときも、その理由を確認します。
数字の動きと、会社の中で起きたことをつなげるためです。残高だけ眺めていても、なぜ動いたのかまでは分かりません。
こうして声をかけることが、社長にとって「見てくれている」という安心感にもなっているようです。一緒に確認する人がいる。
その関わりも、支援の大切な部分だと感じています。
口座の動きから、社長が把握していなかった仕入れが見つかる
残高が動いた理由を聞くと、社長が知らない仕入れが見つかることがあります。
仕入れ担当者や社員が、自分で判断していたと分かるのです。
ここで、口座の数字だけを見ていても、同じことが続いてしまいます。誰が仕入れを判断しているのか。どこまで任されているのか。
上長は何に責任を持つのか。会社の中の役割へ話を進めます。
こうした確認をきっかけに、翌週からお金の出入りを前より細かく調整できる場面もあります。
ただし、声をかけるだけで終わらせず、必要であれば組織のルールまで整えていきます。
仕入れの決め方を、商品ごとに変える
年商12億円の食品卸の会社では、まず、お客さんがどれくらいの間隔で注文してくるかを見えるようにしました。
そのうえで、商品を売上の大きさで3つの組に分け(ABC分析)、組ごとに仕入れの決め方を変えました。
- よく売れる商品(A):毎回、決めた同じ量を仕入れる
- その次に売れる商品(B):決まった日に、足りない分を仕入れる
- あまり売れない商品(C):同じ商品を2つの箱に分けて置き、1つ目の箱が空になったら仕入れる(ダブルビン方式)
在庫は約2割減りました。1億円あった在庫が、8,000万円で回るようになりました。在庫に寝かせなくてよくなった2,000万円は、手元に残ります。
それ以上に大きかったのは、売れずに捨てる商品(廃棄)が減ったことです。仕入れで、お金が出ていかなくなりました。
細かく縛るより、任せる範囲を決める
私がお会いする社長には、社員を細かく縛ることを好まない方が多くいらっしゃいます。
だから、何でも社長の承認を取るようにするのではありません。何を担当するか、いくらまで使ってよいかを決めます。
その範囲なら、社長に毎回聞かずに判断できるようにします。
何を担当するのか。どの予算の範囲で判断するのか。その範囲について、誰が責任を持つのか。
社員や上長が判断する範囲を明確にすることで、社長が日々の細かな判断を抱え込まずに済む形をつくっていきます。
資金繰りの問題を追いかけていたはずが、役割や責任の整理につながる。支援の現場では、こうしたことが起こります。
「楽になった。やることが減った」へ
現金の動きが落ち着き、任せる範囲がはっきりしてきます。
すると社長から、「役割って大事ですね」「やることが減った」といった言葉が出てきます。
お金が見えるようになる。動いた理由を確認できる。会社の中で判断する範囲を決められる。
私たちが大切にしているのは、その先で、社長が自分の時間と判断の余裕を取り戻すことです。
財務の力で、経営の選択肢を最大化する。資金繰りの表を作ることも、口座の変化を聞くことも、そのための支援だと考えています。