「利益は出ていると言われたのに、通帳にはお金がない。どうすればいいですか?」
顧問先の社長から、この相談を受けたとき。利益と現金の違いを説明した先に、もう一つ必要なことがあります。社長が次に何を確認し、何を変えるかを決められることです。
私は、国内大手の税理士法人で経営コンサルティングに従事し、現在は社外CFOとして経営者を支援しています。数字の話から始まった相談が、仕入れの決め方や社員への任せ方へ進む。その現場で大切にしている確認の順番をご紹介します。
まず「いつ、何の支払いに困っているか」
私が最初に伺うのは、何に苦しんでいるのかです。「お金をどうしよう」だけで頭がいっぱいになると、仕事に集中できなくなります。まず、その不安を具体的な支払いと時期に置き換えます。
- いつの、どの支払いが心配なのか。
- 今の手元資金と、その日までの入金・支払い予定はどうか。
- 年商、借入残高、毎月の返済額、何期目か。
- 口座残高が大きく動いたときに、何があったのか。
これは、数字だけで良し悪しを決めるためではありません。確認すべきことと、急いで対応することを分けるためです。入金予定は、金額だけでなく入金日や確かさも確認します。
利益の説明を、現金の動きにつなぐ
売上の計上と入金には時間差があります。在庫に資金が使われている場合もあります。また、借入金の元金返済は現金を減らしますが、費用とは異なります。利益と口座残高が一致しない背景を、会社ごとに確かめる必要があります。日本政策金融公庫の資金繰り解説(PDF)でも、回収・支払いのずれや借入返済との関係が整理されています。
支援では、月次で利益と現金の動きを並べて見せています。「利益は出ているのに、なぜ現金が減ったのか」が分かると、社長との会話が具体的になります。
6か月先までの資金繰りの見通しと、週次の口座残高も合わせて確認します。月次は理由を捉えるため、週次は目の前の仕入れや支払いを判断するため。見通しは実際の入出金に合わせて更新していきます。
入金を見て、仕入れを決められるように
現場では、週ごとの経常的な入出金を棒グラフで見る「勝ち負け表」も使います。毎週プラスになることだけを求めるのではなく、大きな落ち込みを抑え、上下の振れ幅を小さくするためです。
見えるようになると、社長が入金額を意識して仕入れを決め始めます。「今週必要なのか」「急がないものは来週でよいか」。支援の中では、こうした調整が翌週から始まる場面もあります。
支出を一律に止めるのではなく、必要なものを、必要な時期に判断する。その行動までつながって初めて、数字が判断材料になります。
数字の変化から、役割の見直しへ
口座の大きな動きを確認すると、バイヤーや社員が、社長の把握していないところで仕入れていたと分かることもあります。その場合は、仕入れの金額だけでなく、誰がどこまで決めるかを一緒に整理します。
役割、予算上限、上長の責任範囲を明確にし、その範囲を任せる。現金が安定し、「楽になった」「やることが減った」と伺うことがあります。ここまで進めるためには、表を作るだけでなく、経営者との対話と実行後の確認が必要です。
ここで紹介する変化は代表の複数の支援経験に基づくもので、特定の1社の経過や一定の成果を示すものではありません。
所長へ、実行支援という選択肢を相談する
数字を説明することに加え、次の確認事項や改善の進め方を示せる。その積み重ねが、担当者と事務所への信用を深めます。
所内で担う業務と、外部へ任せる業務は、事務所によって異なります。資金繰りの更新、週次の確認、現場の行動への落とし込みまで支援する必要があるときは、社外CFOとの連携も選択肢になります。
顧問先に、次の一手を示せる事務所へ。
支援範囲、顧問先との関係、連絡方法、費用・契約の確認事項を、所長へ共有できる2ページの資料にまとめています。
無料・メールアドレス登録不要/A4・2ページ
株式会社 Issue-Consulting