資金繰り表は、お金の出入りを並べて、「お金が足りなくなる時期」を先に見つけるための表です。

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月末が近づくと、夜中に目がさめて、支払いが不安になる。

当社がおすすめするのは、月ごとではなく「週ごと」の資金繰り表(週次・週間の資金繰り表)です。月末に残高があっても、月の途中で足りなくなることがあるからです。

作り方は3つの段階です。①これまでのお金の動きを並べる、②4週先を予測する、③予測と実際を比べる。エクセルで作れます。

なぜ「週次・週間」の資金繰り表なの?

資金繰り表は、どのくらいの細かさで見るかで、見えるものが変わります。

細かさ見えるもの弱いところ
月ごと1年の大きな流れ。長い計画に向いている月の途中の不足が見えない。月末に残高があっても、支払日に足りなくなることがある
週ごと支払日が集中する週まで見える。手間と正確さのつり合いがよい慣れるまで少し手間がかかる
日ごと1円単位まで正確手間がとても大きく、社長の時間が取られる

日本の取引では、支払いが「月末」や「25日」など、特定の日に集まりがちです。週ごとに見ると、その集中が見えます。

4週先が見えていれば、足りなくなりそうなときも、銀行への相談などの手を早めに打てます。

見本(説明のための例です)

1週目2週目3週目4週目1か月の合計
週のはじめの残高800万円900万円750万円250万円800万円
入るお金300万円100万円100万円700万円1,200万円
出るお金200万円250万円(給料)600万円(仕入れの支払い)150万円1,200万円
週の終わりの残高900万円750万円250万円800万円800万円

月ごとに見ると、月のはじめも終わりも800万円で、何も問題がないように見えます。

でも週ごとに見ると、3週目の終わりに250万円まで減っています。当社では、週のはじめに「1週間の平均の支払いの約2倍」を持っておくことを目安にしています(くわしくは下の「週次の資金繰り表で、まず見る2つのこと」)。この例では、1週間の平均の支払いは300万円なので、目安は約600万円です。4週目のはじめは250万円しかないので、危ない週です。

作り方1 これまでのお金の動きを並べる

  1. 会計ソフトから、「現金」と「預金」の動き(総勘定元帳)を、過去2年分出します。 通帳の記録でもかまいません。
  2. 月曜日から日曜日を1週間として、週ごとに区切ります。
  3. お金の動きを、5つの箱に分けます。 最初からまとめようとせず、まずは科目ごとに分けてから、箱に入れます。
  • 入るお金:売上の代金など、本業で入ったお金
  • 会社ならではの大きな支払い:事業に大きく影響する、その会社特有の支払い
  • 毎月決まった支払い:家賃、給料、リース料など
  • 売上にあわせて動く支払い:仕入れ、外注費など
  • その他:税金、借入の返済、設備の購入など
  • あわせて、借りたお金の入金は、本業で入ったお金とは別の行にします。事業でお金を生めているかが、ひと目でわかるからです。

2年分を並べると、「毎年4月は税金で大きく減る」「第2週に支払いが集まる」など、会社の「くせ」が見えてきます。

1円まで合わせる必要はありません。「いつ、何のために、大きなお金が動いたか」をつかむことが大切です。

作り方2 4週先を予測する

  1. 週のはじめ(月曜か火曜)に作ります。 週末の入金や支払いが通帳に出そろい、残高がはっきりするからです。
  2. 先に「決まっている支払い」を入れます。 給料、社会保険料、カードの引き落とし、借入の返済、家賃、リース料など。
  3. 次に、入金と支払いの予定を入れます。 入金は、取引先ごとの約束(月末締め翌月末払いなど)と、今の受注から出します。支払いは、約束した支払日で入れます。
  4. 予測には、決まりが2つあります。
  • 入金は「少なめ・確実な日」に。迷ったら、遅い日にします。
  • 支払いは「多め・早い日」に。迷ったら、早い日にします。

予測は、外れるものです。だから、外れても困らない向きに外しておきます。

この予測で「残高が足りなくなる」と出たら、そこが社長の出番です。銀行に相談する、支払いの時期を相談する、代金を早く受け取れないか相談する、などの手を、早めに打てます。

作り方3 予測と実際を比べる

1週間たったら、予測と、実際の通帳の動きを並べます。

  • 予測どおりだったか。お金は増えたか、減ったか。
  • ずれていたら、その理由を探します。入金の遅れ、請求のもれ、予定外の修理代、思ったより多い仕入れなど。

わかったことは、次の4週の予測にすぐ入れます。「この取引先は入金が遅れがち」「この時期は消耗品が増える」といった実感を、数字にしていきます。

ずれを見つけることは、失敗さがしではありません。まだ見えていなかった会社の危険や、チャンスが見えることです。

週次の資金繰り表で、まず見る2つのこと

週次の資金繰り表を見たことがある社長は、ほとんどいません。銀行の方にお見せしても、最初は驚かれることがよくあります。

見るところは2つです。

1. 週ごとに、本業のお金が「勝ち」か「負け」か

本業で入ったお金(経常収入)が、本業で出ていったお金(経常支出)より多ければ「勝ち」、少なければ「負け」です。見本のエクセルの「勝ち負け表」のグラフで、ひと目でわかります。

2. 1週間に払っているお金の「いちばん多い週」と「平均」

2年さかのぼって、1週間の支払いがいちばん多かった週の額と、平均の額を調べます。

週のはじめに、1週間の平均の支払いの約2倍のお金を持っておくこと。これが、資金繰りでとても大事だと当社は考えています。

よく「手元のお金は月商の1〜2か月分」と言われます。でも、週ごとの実際の支払いから出すほうが、その会社に合った額を細かく出せます。

この目安は、ときどき見直します。

  • 伸びている会社:支払いの大きさが大きく変わるので、3か月に1度(四半期ごと)見直します。
  • 落ち着いている会社:半年に1度で十分です。

この表を見た社長に起きること

当社の支援先では、週次の資金繰り表を見はじめた社長に、次の変化がよく起きます。

  • 本業のお金の「負け」の週が減っていく:毎週の経常収支が、少しずつプラスに向かいます。はじめに、プラスとマイナスの振れ幅が小さくなり、そのあとプラスに変わっていく形もあります。
  • お金の管理が落ち着く:いくら払うのか、いくら持っていないといけないのかが、ひと目でわかります。だから、預金の管理が安定します。

どの会社でも同じ結果になるとは限りません。

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4週から、12週、52週へ

4週先が読めるようになったら、12週(約3か月)、52週(約1年)と、先へ伸ばしていきます。

最初から1年先を作ろうとすると、途中でつまずきやすくなります。あせらず、少しずつ伸ばします。

1年先のお金が見えると、人を増やす、設備を買う、新しい事業を始めるといった判断を、根拠を持ってできるようになります。

銀行に出すときに、気をつけること

  • 終わった週(実績)と、これからの週(予定)を分けて見せる。
  • 予定の数字には、確かさを添える。 「受注済み」「商談中」「目標」などを分けて書きます。
  • 借りたお金の入金と、事業で入ったお金を分ける。
  • 返済の予定を、借入の一覧と合わせる。

持っていく資料のくわしい一覧は、「銀行交渉が苦手な社長へ|融資相談前に整理したい7項目」にまとめています。(記事を見る)

よくある質問

Q. 会計ソフトの数字と合わないのですが?

A. 会計の利益は「売った月」、資金繰り表は「お金が動いた日」で数えるので、ずれるのがふつうです。ずれの理由を説明できれば大丈夫です。

Q. 1円まで合わせないといけませんか?

A. いいえ。目的は決算ではなく、お金の流れをつかむことです。大きなお金が、いつ、何のために動いたかがわかれば十分です。

Q. 毎週、どのくらい時間がかかりますか?

A. 慣れてくれば、週に2時間ほどが目安です(代表の小冊子の目安)。最初の2年分を並べる作業は、1日に1週分、週末に4週分など、自分のペースで進めてください。

Q. エクセルで作ってもいいですか?

A. はい。大切なのは道具ではなく、毎週、実際の数字で見直すことです。

当社ができること

作るのが大変なときは

当社では、最初に52週の資金繰り表を作り、そのあとは実際の数字で見直していきます。銀行に持っていく資料としても使えます。

(料金、具体的な支援)

次にできること

資金繰りの問診へ

「うちの場合、どの週が危ないか」を、今の数字から一緒に確かめます。

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株式会社Issue-Consulting(イシューコンサルティング)/代表 上野貴司(中小企業診断士)/埼玉県入間市

上野 貴司
株式会社 Issue-Consulting 代表取締役/中小企業診断士

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