課題
名の知れたお店。
それでも、お金が続かない。
東京にある、名の知れた和食料理店です。3店舗で、年商は5億円。先代のお父様から事業を継いで、3年目の社長でした。
社長が困っていたのは、料理人との関係と、資金繰りの2つ。支えてくれる銀行は、メイン銀行1行だけになっていました。
オーナーのお金を入れれば、あと2年は持つ。でも、それでは続きません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| お店 | 東京の和食料理店(3店舗・年商5億円) |
| 支援の開始 | 2025年6月 |
| すぐにしたこと | 現場の判断での割引をやめた(1か月後に資金繰りの数字が改善) |
| 分かったこと | 近くの同じ格のお店より、客単価が約1万円安い |
| したこと | お店が続くために必要な単価を出し、秋と冬の2回に分けて値段を改めた |
| お客さんの数 | 変わらなかった |
| 銀行 | 経営改善計画書をもとに、メイン銀行が3年間、今の支え方を続けると約束 |
取り組み
担当CFOが、
最初に見たもの。
- 変えないものを、先に決める。東京では、料理人の給料は高くなります。それでも、下げれば辞めてしまう。お店の味を守るため、給料は変えないと決めました。
- あと何年持つかを、数字で確かめる。オーナーのお金を入れれば、あと2年は持つことが分かりました。急いで何かを削るより、本当の問題を探す時間があると分かりました。
- すぐに止められるお金の漏れを、先に止める。支援に入ってすぐ、割引が現場の判断で行われていると分かりました。この割引を、やめました。
- 周りのお店と比べる。近くの同じ格のお店と比べると、客単価が約1万円安い。ここが一番の問題でした。値段に決めた理由はなく、「昔からこの値段」「安くておいしいと言われるのがいい」という考えで決まっていました。
- お店が続く値段を、原価から決める。原価を出し、お店が続くために必要な売上と単価を決めました。周りのお店の値段も調べ直すと、必要な単価にしても、まだ周りより安い。「必要な分は、いただこう」と決め、秋と冬の2回に分けて値段を改めました。
- 銀行と、これからを約束する。経営改善計画書をつくり、メイン銀行に示しました。メイン銀行は、3年間は今の支え方を続けると約束してくれました。
結果
お客さんは変わらず、
お店は、より落ち着いた場所に。
値段を改めても、お客さんの数は変わりませんでした。むしろ、お客さんの質が上がり、より落ち着いたお店になりました。東京という場所だったからかもしれません。
飲食は、その日のうちに現金が入る商売です。支援に入ってすぐに割引をやめたことで、1か月後には資金繰りの数字に改善が出ました。値段を改めると、現金はさらに増え始めました。
「原因がはっきり分かって、よかった」
― 社長
原因が分かっても、できるかどうかは別です。それでも社長は、やるか、やらないかを、自分で決められるようになりました。(担当CFO)
値段の見直しで同じ結果になるとは限りません。お店の場所、お客さん、周りのお店の値段によって変わります。銀行の約束は、この会社の経営改善計画書にもとづくものです。会社名は伏せています。
この事例を担当したCFO
上野 貴司
代表取締役・中小企業診断士。事業会社での財務・経営管理15年、企業支援11年。
経歴と考え方を見る御社の状況を、こうしたところから確かめます。
- 今の値段に、「なぜこの値段か」を説明できる理由がない。
- 周りの同じ格のお店と、値段を比べたことがない。
- 割引や値段を、現場がそれぞれの判断で決めている。
削る前に、
いただくべき値段を確かめる。
人を減らす前に、値段を見直せることがあるかもしれません。今の数字と、周りのお店の値段から一緒に確かめます。
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