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経営の数字と仕組み 成長への投資 宿泊業(旅館・32室)

「うちは安い旅館」という
思い込みを、外す。

お客さんの声から強みをつかみ、近くの同じ格のホテルと比べて値段を決め直しました。客単価は半年で16,000円から25,000円に。予約サイトに頼る割合は1年で85%から67%に下がり、料理人の長時間労働もなくなりました。

この事例を担当したCFO上野 貴司(中小企業診断士)

課題

料理も客層もいい。
それでも、客単価が上がらない。

長野県にある、32室の旅館です。年商は3億円。母親の女将と、息子の社長で営んでいます。

社長が困っていたのは2つ。客単価が上がらないこと。そして、人が足りず、シフトを組むのに苦労していたことです。

項目内容
旅館長野県の旅館(32室・年商3億円)
支援の開始2025年4月
分かったこと予約の多くが予約サイト経由(手数料10%)。カード払いが多く、入金まで2か月
強み料理と、館内での演舞。客層もよい
したこと強みを自社のHPとLINEで届け、近くの同じ格のホテルと比べて値段を上げた
客単価16,000円 → 25,000円(半年)
予約サイトに頼る割合85% → 67%(1年)
料理人の働き方食器の自動洗浄機を入れ、長時間労働がなくなった

取り組み

担当CFOが、
最初に見たもの。

  1. お金の流れを、先に確かめる。資金繰りは、今は回っていました。ただ、予約の多くは予約サイト経由で、手数料を10%払っていました。支払いはカードが多く、お金が入るまで2か月かかっていました。そこで、予約サイトに頼らない予約を増やすことと、客単価を上げることの2つに絞りました。
  2. お客さんの声から、強みと弱みをつかむ。アンケートを分析すると、強みは料理と、館内での演舞などの体験。客層もよい旅館でした。弱みは露天風呂。直すにはお金がかかるので、弱みを直すより、強みを打ち出すことにしました。
  3. 強みを、自分たちで届ける。料理と体験を、自社のHPできちんと伝えるようにしました。LINEでお客さんとつながり、季節の料理の案内などで、定期的に接点をつくりました。
  4. 周りの宿と比べて、値段を決め直す。近くの同じ格のホテルを調べ、値段を上げていきました。上げられなかったのは、「うちは安い旅館だ」という昔からの思い込みだけでした。
  5. 人の働き方に、お金を使う。シフトは部署ごとに組まれていて、ほかの部署の仕事を手伝えません。部署ごとに忙しい時間と暇な時間の差が大きく、何もしていない時間が多くありました。そこで、食器の自動洗浄機を500万円で入れました(補助金を使い、実質は半額)。入れるだけで、洗って乾かして出てくる。1回2分で5人分。フロントの人でも、学生でも、年配の人でも使えます。すき間の時間に、ほかの部署の人が料理人を助けられるようになりました。

結果

客単価は約1.5倍に。
料理人の長時間労働も、なくなった。

客単価は、半年で16,000円から25,000円に上がりました。予約サイトに頼る割合は、1年で85%から67%に下がりました。予約サイトを通さない予約には、手数料がかかりません。

料理人のシフトが良くなり、長時間労働がなくなりました。露天風呂の改修にお金をかけるのではなく、人の働き方を変える所にお金を使いました。

「やっと息子にまかせられる」
― 女将

客単価の上がり方や予約の割合は、場所や宿の格、お客さんによって変わります。同じ結果を保証するものではありません。補助金は、時期や条件によって使えないことがあります。会社名は伏せています。

上野貴司の写真
この事例を担当したCFO

上野 貴司

代表取締役・中小企業診断士。事業会社での財務・経営管理15年、企業支援11年。

経歴と考え方を見る

御社の状況を、こうしたところから確かめます。

  • 予約の多くを、予約サイトに頼っている。
  • 「うちは安い宿だ」と思って、値段を上げられずにいる。
  • 部署ごとのシフトで、忙しい人と手が空いている人の差が大きい。

弱みを直す前に、
強みで値段を決め直す。

お金をかけて弱みを直す前に、今ある強みで、いただける値段があるかもしれません。今の数字と、周りの宿の値段から一緒に確かめます。

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